1945年4月。
ひとりの日本兵が戦地マーシャル諸島で命を落とした。
補給が絶たれたことによる飢えであった。
亡くなる数時間前まで書かれた日記と遺言は
戦後奇跡的に生き残った戦友から遺族のもとへ届けられた。
2016年4月。
74歳になった息子は
マーシャル在住歴のある若者3人とともに
父が過ごした最期の地をめぐる旅に出た。
今もなお戦跡とともに暮らす島のひとびと。
マーシャル語の中に残る日本語。
「タリナイ」が意味するもの。
わたしたちが忘れようとしてきた記憶が
さまざまなかたちで問いかけてくる。