1/14(金)晴
乗り換えに便利な先頭車両は、9時まで女性専用車両。
今朝はとても混んでいた。
乗車率250%を超える車両に、一番最後に乗った。
次の駅のホームには、20人弱の人が待っていた。全員は乗れないよと心の中で思いながら、車両の真ん中までぎゅうぎゅうと押し込まれていった。これ以上は進めないと思った時、おしりに違和感を感じた。
後ろを振り返り、下を見ると、人の頭が見えた。
私は車椅子の人の頭の上に、座っていた。とっさに「ごめんなさい」と謝るも、前方からの圧は増すばかり。気づけば「すみません」と3回連呼したけれど、車両に乗り込むことに必死な人たちに、その「すみません」がいったい何を意味するのか、よく考えれば何も伝わっていなかった。
両肩にトートバッグ、手には本、つり革にも手が伸ばせない。お手上げ状態で困り果てた私に、車椅子の人は「大丈夫ですよ」と小さく呟いた。慣れているかのように。
しばらくして、右斜め後ろにいた女性が、私の右腕を引っ張ってくれた。
車椅子の横に少しだけ床が見える。ここに移動すればいいと、無言で教えてくれた。その救いの手とともに、少しずつ、身体をよじらせながら車椅子の横に着地成功。
その間、ホームドアにしがみつく人たちは、誰も振り返らない。というより、振り返れない。この一本を逃したら遅刻するかもしれない。運命を左右する車両の乗車率は300%。ドアは出発前に3回開閉したのち、ゆっくりと進行方向に進んだ。
私が降りるひとつ前の駅で、車椅子の人は降りた。大きな声で「すみませーん!」と、車椅子に座る人が呼びかけたけれど、誰も振り返らなかった。声を出しても、何も変わらなかった。
車椅子を押していた人は、お母さんに見えた。60~70代くらいか。我先にと降りる人たちの殺気だった渦の中、親子は黙って、待っていた。
混んでる時間帯に乗るのがいけない話なのか、都市部によくある光景なのか、女性専用車両じゃなかったら違ったのか。
次の駅まで、今度は反対側のホームドアに移動した。
ドアの前にいた女性の背中に、押されて触れてしまった。それから倍返しの攻撃がはじまった。ピンヒールで踏まれないだけよかった。
